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【外部発表のご紹介】SHAP の健常成人データの集積

よりよいリハビリテーションの提供を目指し、日々の現場だけでなく研究活動や、学会発表などに取り組んでいます。今回は8月に参加した「第1回日本スティミュレーションセラピー研究会」で発表した演題についてご紹介します。(抄録は記事最下部よりご覧いただけます)

 

SHAP の健常成人データの集積

  • 鬼塚沙織(御所南リハビリテーションクリニック 作業療法士)
  • 第1回日本スティミュレーションセラピー学会 2019年8月

 

当院で脳卒中の片麻痺に対して用いている検査は、生活上の手の動きを客観的に評価する上で複数の検査を行うため非常に時間を要していました。1つの検査からある程度の手の状態を知ることはできないか調査していた際に安保雅博先生(東京慈恵会医科大学リハビリテーション医学教室 主任教授)にSHAPの日本語版を紹介いただきました。

写真はイメージです

SHAPは2002年にイギリスで開発された検査手法です。もとは義手の方に対して使用していた検査で、コインを掴んで移動するなどの12の物品移動項目とソーセージに見立てた粘土をナイフで切るなど14の日常生活動作項目で構成されています。

この検査方法は、それまで当院で使用していた手法と比べても、より生活に近い動きを観察できるものでした。そこで当院ではこの検査を用いることでどのような動きの練習が必要なのかと知ることができると考え、2017年頃からSHAPを脳卒中患者様に対して実施し、今まで実施してきた検査との相関性について研究してきました。その結果、それまで主に用いていた検査と相関性があり、訓練内容を検討するうえで適した検査であることが分かりました。

しかしながら海外発の検査であり、日本人での調査ができていませんでした。そのため脳卒中患者に実施した際に、(検査結果の前後は比較できても)日本の健常な成人と比べてどの程度まで回復ししているかを把握できない状態でした。そうした課題を解消すべく、年齢別に健常成人のSHAPを実施、調査しました。

SHAPの点数は加齢により合計点数は低下していきますが、小項目に関しては個人差がありました。個人差の要因に関しては「生活」「仕事」「趣味」など、環境によって違いがあることが分かった。今回の結果も踏まえ、今後も短時間で正確に上肢機能検査が行える方法を模索していきたい。

※SHAP(The Southampton Hand Assesment Prosure)

 

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