「リハビリ続ける 仲間たち明るく元気に 生きてゆこう」当院通院中の患者様がオリジナル曲の演奏を披露くださいました!
御所南リハビリテーションクリニックに通院中の一村好郎さん(78)がオリジナル曲の演奏を披露くださいました。
■若い頃から好きな音楽。定年を機に活動を本格化
元々はサラリーマン。音楽は若い頃から趣味で始められたと言い、ギター、アコーディオンなどの楽器や作曲活動もされていました。定年後、音楽活動に専念して大いに楽しく過ごしたいというのが夢でした。実際に定年を迎えた当時の様子は奥様曰く「まさに水を得た魚のよう」だったそうです。作曲している時以外は家にいないほどで、機会を得ては演奏会するなど活動的に過ごされていました。東日本大震災後、被災地の方を勇気づけたいと有名な奇跡の一本松(岩手県)の下で歌を披露されたのも一つです。人前で話をしたり、何か企画をするのも好きだったこともありコンサートを企画・開催したり、楽器演奏を指導などにも取り組まれました。70歳の節目で開催した記念コンサートには数百人が集まるほどだったそうです。
■約3年前からの異変。落ち込む時期もあったが、病気と付き合いながら音楽を続けるためにリハビリを開始!
一村さんが、身体の異変に気付いたのはおよそ3年前。手が動かしにくくなったことが始まりでした。最初は「使いすぎのせいかな?」と思い、整形外科に行くもののはっきりと原因は分かりませんでした。すっきりとしない状態が続き、楽器の演奏もしづらく気分も落ち込みかけていた1年前の夏には、今度は話がしづらくなりました。体が動かしにくかったり、言葉がでづらかったり「これはもしかすると脳卒中かもしれない」と、当時住んでいた地域の大きな病院で診察を受けることにしました。すると脳卒中ではなく「(パーキンソン病のような)神経難病系の病気かもしれない」という話になりました。このことを家族で話していると、息子さんから「今住んでいる場所の近くにそうした分野で評判の良い病院があるらしい」と紹介され受診しました。結果、今年(2019年)2月に大脳皮質基底核変性症(※)と診断が下り、同時に現在は明確な治療をする方法はなく、付き合っていかなければならないということが分かりました。
「手が動かしにくくなった。楽器も演奏しづらく音楽を手放さなければならないかもしれない。」そんな不安も「もし、楽器ができなくなっても企画したり話せたりできればいいじゃないか。」そう、気持ちを整理していました。そんな矢先、今度は話すのが難しくなってしまった。前を向こうとするけれど、元に戻ることは難しく治らない。という現実に直面した。当時の落胆は非常に大きいものでした。元々活動的だった一村さんも閉じこもってしまう時期があったそうです。
ただ、このままではいけないと、周りの支えも受けてなんとか気持ちを奮い立たせて「現在の状態で、少しでも長く音楽が続けていきたい。」と当院でのリハビリテーションに取り組まれることになりました。現在は息子様のご自宅近くに生活を移し、当院へも通院され定期的にストレッチや筋力トレーニングなどに取り組まれています。
■自身のリハビリ訓練、周囲へのエールを込め、オリジナル曲の演奏を披露!
今回のコンサートは一村さんにとってはリハビリ訓練の一環として、また院内で同じようにリハビリに励む患者さんにエールを送りたいと開催されたものです。ご本人のギターと息子様のピアノ演奏、奥様とのツインボーカルで色を添えてオリジナル曲を披露くださいました。「皆さんこんにちは。私はこのように手が震えてしまう病気でリハビリに通っています。音楽が好きでずっと続けて来ました。今日は皆さんにエールを送ることができればと歌わせていただきます。」
披露してくださったのは「ネバ―ギブアップ」「ユメをあきらめないで」そして「リハビリの仲間たち」というオリジナルの3曲。なかでも「リハビリの仲間たち」は当院と、通院中の他の患者様をイメージしながら作曲された曲です。
リハビリの仲間たち (作詞作曲)一村好郎
- 1.
- 今日も聞こえる 明るいかけごえ
- 僕の胸に 届いている
- どんなにつらい時だって ラララ
- 「元気だそうぜ!!」
- リハビリ続ける 仲間たち
- 励ましあって生きてゆこう
- 2.
- 今日も聞こえる元気な掛け声
- 私の胸に 届いている
- どんなに 苦しい時だって ラララ
- 「負けないぜ!!」
- リハビリ続ける 仲間たち
- 明るく元気に 生きてゆこう
- 明るく元気に 生きてゆこう
演奏終了後は周囲からも大きな拍手が起こりました。「なんだか今日は調子悪かったかな笑?」と言いながらも照れ臭そうに、しかし充実した表情で一緒に歌われた奥様と、伴奏を務められた息子様と一緒に会話されていた姿が印象的でした。
患者さん自身の目標に向けた努力や気持ちに私たちが励まされます。当院としてはできる限り、お一人お一人の目標に沿ったサポートを。現在、リハビリに励まれている方にはこのような姿から勇気が伝わればと願っています。
- ※大脳皮質基底核変性症とは?
- パーキンソン症状(筋肉の硬さ、運動ののろさ、歩行障害など)と大脳皮質症状(手が思うように使えない、動作がぎこちないなど) が同時にみられる病気です。身体の左側または右側のどちらか一方に症状が強いのが特徴ですが、典型的な症状に乏しく、診断の難しい場合が少なくありません。40歳以降に発病し進行します。