嚥下障害のリハビリにはどんなものがあるの?
こんにちは、御所南リハビリテーションクリニックです!
生活の中には毎日のおいしい食事が欠かせません。
そんな楽しいはずの食事を快適に行えなくなってしまう「嚥下障害」。
今回は「嚥下障害」の特徴や原因、リハビリについてご紹介します。
なお、嚥下障害のリハビリは危険もともなう訓練です。
このブログをご覧いただいた方も、実施する時には必ず専門家に相談してから取り組んでくださいね。
嚥下障害とは
嚥下障害(えんげしょうがい)とは何らかの理由により、食べ物を飲み込んで口から胃へ送り込むことが困難になってしまう状態のことを言います。
嚥下障害があると食べ物をうまく飲み込めず食事がしづらくなってしまうため、充分な栄養や水分が摂取しづらくなったり、喉に食べ物を詰まらせて窒息したりする危険性や、命の危険がある「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」を引き起こしてしまう可能性があります。
嚥下障害でよく起こる症状
・唾液が飲み込めず口から出してしまう
・食事中にムセたり咳が出る
・食事に時間がかかり最後まで食べきれない、疲れてしまう
・痰が多く喉が常にゴロゴロする
嚥下障害の原因は大きく3つ
嚥下障害の原因には次の3つが挙げられます。
器質的原因
口腔内や食道など嚥下に関わる身体器官において構造上の問題があり、食べ物の通過を妨げているケース。
例えば口内炎や咽頭がん、食道がんなどによる炎症や腫瘍などが原因となる場合があります。
機能的原因
食べ物を飲みこむ動きに必要な筋肉や神経機能に問題があり、嚥下に障害が起こるケース。
脳卒中やパーキンソン病などの「神経筋疾患」が原因となっている場合や、向精神薬、鎮静剤などの薬の影響で必要な器官が衰えてしまっている場合もあります。
加齢による筋力の衰えも代表的な原因で、筋力の低下により食べ物を飲み込むときに気道を上手く閉じることができず、食べ物が気管に入ってしまう「誤嚥性肺炎」を引き起こしやすくなります。
心理的原因
うつ病や心身症など、心因性の疾患が原因で嚥下障害を引き起こす場合もあります。
心因性の嚥下障害は、食事を摂る際に嚥下困難を感じることはあまりないのですが、唾液を飲み込む時に異物感が強くなるといった特徴がみられます。
嚥下障害を軽減するためのリハビリの流れ
嚥下障害の改善にはリハビリテーションが効果的です。
まずは嚥下障害の専門外来がある医療施設や、嚥下障害専門のリハビリテーション科を受診し、嚥下機能の状態を確認するために観察や検査などを行います。
その後は食べ物を使わない基礎訓練(間接訓練)、食べ物を使った摂食訓練(直接訓練)を組み合わせながらリハビリを行っていきます。
観察や検査で患者の状態を確認
・口腔内や全身状態の観察
・反復唾液嚥下テスト
30秒間に唾液を何回飲み込めるか測定
・水飲みテスト
少量の水を飲む様子を観察し、嚥下反射やムセの有無、呼吸などを観察
・嚥下造影検査(VF)
X線での確認を行いながら造影剤を混ぜた飲み物や食べ物の、飲み込みの様子を観察する。
・嚥下内視鏡検査(VE)
内視鏡を鼻から喉へ入れた状態で色を付けた水分やゼリーなどを飲み込み、その様子を観察する。
食べ物を使わない基礎訓練(間接訓練)
舌や口、喉など嚥下に必要な器官のマッサージやトレーニングなどを行い、咀嚼と嚥下に関わる機能を回復させます。
食べ物を使った摂食訓練(直接訓練)
実際に食べ物を食べることでトレーニングを行います。
まずは咀嚼のいらない水分やゼリーなどから始め、段階的に通常の食事に近づけていきます。
摂食訓練は誤嚥のリスクがあるので、摂食訓練が可能かどうか患者の状態や体調を見極めた上で専門スタッフ(言語聴覚士や看護師)がしっかり付き添いながら行う必要があります。
外科手術
リハビリによる回復が見込めないような重度の嚥下障害では、外科手術を検討する場合もあります。
・嚥下機能改善手術
・誤嚥防止手術
嚥下障害の具体的なリハビリ方法
嚥下障害のリハビリとして代表的な訓練を紹介します。
嚥下障害の訓練は危険もともないます。
実施する時には必ず専門家に相談してから、体調や嚥下障害の程度を見極めたうえで行うようにしましょう。
特に摂食訓練は誤嚥などのリスクもあるので医療施設やリハビリ施設など適切な環境の中で行うか、専門スタッフに指導を受けた介助者が常に付き添い見守るようにしましょう。
基礎訓練(間接訓練)
口腔ケア
歯磨きやうがいなどで口腔内を清潔に保つことで誤嚥性肺炎を予防します。
嚥下体操
口や舌、頬、首周りの体操やマッサージを行うことで、咀嚼と嚥下に必要な筋力を強化します。
・口をすぼめた状態で深呼吸をする
・首をゆっくり回し、肩を上下に動かす
・頬を膨らます、引っ込める動きを繰り返す
・舌を前後、上下左右に動かす
・「ぱ」「た」「か」を大きく口を開けて発声する
頭部拳上訓練
嚥下に必要な筋肉、舌骨上筋群(ぜっこつじょうきんぐん)、喉頭挙上筋群(こうとうきょじょうきんぐん)の強化を図る訓練です。
仰向けに寝た状態から肩は床に付けたまま、つま先を見るように頭だけ持ち上げます。
※負荷量は個人の状態に合わせて調整が必要です。
嚥下訓練
唾液を飲み込む練習をし、嚥下反射を促します。
飲み込む力が弱い場合は、舌を前に突き出した状態で行うと良いでしょう。
摂食訓練(直接訓練)
スライスゼリー丸のみ法
飲み込みやすい薄くスライスしたゼリーを丸飲みする嚥下訓練です。
交互嚥下法
固形物と流動物を交互に食べて、固形物が口や喉に残らないようにする方法です。
複数回嚥下法
一口に付き何度も嚥下を行うことで、口や喉へ食べ物が残るのを防ぎます。
効果的なリハビリで嚥下障害の改善を目指しましょう
最後に嚥下障害についてまとめます。
・嚥下障害とは様々な理由により、食べ物を飲み込むことが困難になってしまう障害の事です。嚥下障害の原因は大きく分けて【器質的原因】【機能的原因】【心理的原因】の3つがあります。
・嚥下障害はリハビリにより大きく改善する場合があります。まずは医療機関などで状態を詳しくチェックし、その人に合ったリハビリを行っていきます。リハビリでの回復が難しいような重度の嚥下障害には外科手術を検討する場合もあります。
・嚥下障害のリハビリには食べ物を使わない基礎訓練(間接訓練)、食べ物を使った摂食訓練(直接訓練)があり、患者の状態や体調に合わせながら組み合わせて行います。摂食訓練は誤嚥などのリスクもあるので、必ず事前に専門家に相談をしてから、専門スタッフの指導を受けた介助者がしっかり付き添った状態で行いましょう。
御所南リハビリテーションクリニックで嚥下外来診察を受け付けておりますのでご相談ください。
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