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「腰椎椎間板ヘルニア」の症状やリハビリ方法について解説!

リハビリの知識

こんにちは、御所南リハビリテーションクリニックです!

今回はヘルニアについて、特に「腰椎椎間板(ようついついかんばん)ヘルニアとそのリハビリテーション方法」についてのお話。
「腰が痛くなり病院へ行くと『ヘルニア』と診断されました。」こんなケースも近年増えています。

ヘルニアとはどんな病気なのか?どんな治療をすれば良いのか?手術は必要なのか?腰椎椎間板ヘルニアの原因や症状・リハビリの方法を見ていきましょう。

 

 

「ヘルニア」ってどんな病気?

ヘルニアはラテン語で「脱出」を意味します。
体の中にある臓器もしくは組織が何らかの原因によって、本来の位置から脱出した状態の事を言います。

これを総称して「ヘルニア」と呼びます。

ヘルニアは、体の各場所で起こり得ます。ヘルニアになった箇所によって、

・頸椎(けいつい)椎間板ヘルニア
・腰椎(ようつい)椎間板ヘルニア
・横隔膜(おうかくまく)ヘルニア
・鼠径(そけい)ヘルニア

など、「部位+ヘルニア」といった呼び方をします。
今回は「腰椎椎間板ヘルニア」について詳しく見ていきます。

 

「腰椎椎間板ヘルニア」とは?

人の背中には、首からお尻にかけて積木のように重なっている骨が26個(仙骨:1つ 尾骨:1つとして)あります。
※(仙骨、尾骨といった一部の骨は人により個数が違うこともあります)
その骨と骨の間にあり、クッションの役割をするのが椎間板です。

この椎間板が本来あるべきところから何らかの原因で飛び出してしまい、神経を圧迫することで痛みやしびれを感じるようになります。
この状態が腰に発生すると「腰椎椎間板ヘルニア」となります。

若い頃は弾力がある椎間板ですが、年齢を重ねるごとに弾力がなくなり圧力が加わると壊れやすくなってしまいます。

また腰椎は、脊椎(せきつい)の下の方に位置し、頭、胴、腕などの重みを負っているため、腰の椎間板に症状が出やすくなる傾向にあります。

 

腰椎椎間板ヘルニアになりやすい人とは?

椎間板ヘルニアの発生原因には個人差もありますが、次のようなものがあげられます。

■ 日常的に仕事や子育てなどで中腰の姿勢が多い。
■ 重たい荷物を持つたり、腰を強くひねったりすることが多い。
■ 猫背など、姿勢が悪い。
■ 長時間椅子に座っている(デスクワークなど)。
■ 肥満などで腹筋が弱い。
■ ハイヒールなどのかかとの高い靴を好んでよく履いている。

いずれも共通することは、背骨、特に腰に負担がかかっているという事です。
ヘルニアの予防や治療には生活習慣の見直しも重要なカギを握っています。

腰椎椎間板ヘルニアは神経が圧迫されている状態なので、激痛が走ることや、最悪の場合は神経がマヒして脚が思うように動かせなくなる恐れもあります。
早めの受診、早めの治療を心がけましょう。

 

ヘルニアの症状と治療法とは?

腰椎椎間板ヘルニアの自覚症状

個人差もありますが、腰椎椎間板ヘルニアには次のような症状があります。

■ 短時間でも立っているのが辛い。
■ 前かがみが辛い、痛い。
■ 小一時間座っているのが辛い。
■ 30分以上歩くと腰や足が痛い。
■ 足や臀部(でんぶ)がしびれているようで、感覚が鈍い。
■ 腰が痛く座ってから立ち上がるまでが辛い。

など、ひどくなれば便秘や頻尿・排尿障害を引き起こす恐れもあります。

 

腰椎椎間板ヘルニアの治療にはリハビリが有効!

腰椎椎間板ヘルニアのリハビリには、保存的療法と手術後に行うリハビリがあり、「運動療法」と「物理療法」を用いります。

運動療法は、その名のとおり体を動かすリハビリです。

体を動かすといっても激しい運動をするのではなく、筋肉をほぐし、体を支えるための体幹(腹筋・背筋)を鍛えるためのストレッチから始めます。

 

次に、物理療法と呼ばれる方法です。
電気療法や温熱療法などを用いて血行を良くし、固まった筋肉を和らげてリハビリの効果を高めてくれます。
但し、発症してから3日間は絶対安静で、その間は炎症している患部を冷やします。
医師の診察内容や指示をもとに、理学療法士と二人三脚で、運動療法・物理療法を繰り返すことで症状を緩和させます。

ただし、痛みがある場合は安静にし、コルセットを着用するなどして、腰に負担を与えないようリハビリを行います。

※立っていられないような激痛や排尿障害などが起きた場合には、すぐに専門医の診察を受けてください。

【保存的治療のリハビリ】

腰椎椎間板ヘルニアは姿勢の悪さや筋力低下により、椎間板に負荷がかかり発生する疾患です。
症状進行の抑止や手術後の再発防止には、下半身を中心としたリハビリによって姿勢の改善、筋力トレーニングを行うことが効果的です。

飛び出した椎間板は、正しい姿勢をキープし、過剰な圧力をかけずにいると元の位置に収まろうとすることも珍しくありません。

もちろん完全に元の位置へ戻すには手術が必要となりますが、軽度のうちにリハビリを開始することで、日常生活なら特に問題なく過ごせる程度まで自然治癒するケースも多いのが実情です。

リハビリを継続して体幹・筋力を鍛え、多少の負担にも耐えることのできる身体づくりをすることが大切です。

【手術後のリハビリ】

ヘルニアの手術は、痛みやしびれを改善するための「現状の悪いところを治す」ことが第一の目的であり、再発につながるリスク(筋力低下など)へは直接働きかけることができません。
筋力がなく腰(椎間板)に強い力が加われば、再発してしまうこともあります。

また、手術後安静にしているとさらに筋力が低下する可能性もあり、手術部の痛みがおさまり身体を動かせるようになったら、出来るだけ早く始めることが良いでしょう。

ヘルニアが進行し手術が必要となった場合は、術後のリハビリをしっかり継続して行うことが重要なポイントとなり、単に術後のリハビリとしてとらえず、筋力維持の観点からも、痛みが軽くなったからといって自己判断でリハビリを中断することのないよう気を付けましょう。

 

腰の状態に合わせたリハビリ方法の例とは?

リハビリの方法にはいくつか種類があります。

①よく行われる体操

A.Williams(ウイリアムズ)体操(背骨を曲げる運動)

・腹筋の筋力強化
・骨盤の傾斜運動
・背筋と胸腰筋膜のストレッチング
・ハムストリングスのストレッチング
・腸腰筋のストレッチング
・しゃがみ込み動作による腰仙部筋群のストレッチング、大腿四頭筋の筋力強化

B.マッケンジー体操(背骨を伸ばす運動)

・うつぶせ寝になります
・胸の脇に肘を曲げて両手を置き、背中の筋肉を意識しながらゆっくり上体を起こします。
・慣れてきたら腕立てのように肘を伸ばして上体を大きく起こしましょう。
・仕事の合間など、猫背になっていると感じたら、左右の腰に両手を添えてゆっくり後ろに反らせても効果があります。ただし、お腹を突き出す「逆くの字」にならないように注意。

ポイント:腕立て伏せではありませんので、お腹より下半身は地面から離れないように気を付けましょう。また、勢いよく起き上がるとかえって腰痛の原因になります。

強い痛みがあるときは無理せず安静にし、痛みが和らいできたらコルセットなどを着用し、なるべく腰へ負担が掛からないようにしながらリハビリを行いましょう。

 

②手術後のリハビリ

痛みを伴っていた付近の筋肉は硬くなっていることが多く、まずストレッチによって筋肉を柔らかく保つことが必要になります。
また、コルセットを装着しながら術翌日には起床し歩行器を用いて歩きます。

A.腹式呼吸による腹筋の強化

・あおむけになり、お腹に軽く手を当てます。
・深く息を吸い、お腹を意識して膨らませます。
・ゆっくり息を吐くとき、自然と手にお腹がへこんでいくのを感じるよう意識します。

ポイント:手はリラックス効果とお腹の動きの確認のために添えます。手でお腹を押さないよう注意しましょう。

慣れてきて自然と腹式呼吸ができるようになれば、日常生活の空いた時間に静止している状態で、立位でも座位でも腹式呼吸トレーニングは可能です。

B.左右の寝返りによるストレッチ

・腰をねじらずに、上半身と下半身を同じペースで移動させる
・必要に応じて手をベッドについて体をスムーズに動かせるように数回繰り返す

ポイント:通常であれば上半身が横を向くのにつられて、後から遅れて下半身も横を向きます。これでは脊椎神経を圧迫して下半身が動かなくなってしまう危険性が伴います。
上半身と下半身を同時に動かし、寝返りをするのがポイントです。

※ 手術後は必ず医師の指示に従ってリハビリを行ってください。

 

③運動療法以外のリハビリ方法

物理療法と呼ばれる方法や、理学療法士がマッサージを行う方法などがあります。

物理療法には、「温熱療法」という痛みのある部位を温湿布や入浴などにより温める方法や、「電気療法」という皮膚に直接電極を貼り、筋肉が軽く収縮する程度の電気を流し、痛みを感じる神経を刺激し、痛みを和らげる方法もあります。

症状の程度によっては牽引(けんいん:器具などを使用して、正しい位置に体をひっぱること)を併用することで各リハビリの効果を高めることができる、とされています。

 

ヘルニアのリハビリは手術前も手術後もとても重要!

ヘルニアとリハビリには切っても切れない関係があります。
根治(こんち・こんじ:完全に治ること)が難しい疾患だからこそ、リハビリとうまく付き合うことが、生活の質を下げないために重要なポイントとなります。

・一言で「ヘルニア」と言っても、さまざまな部位でヘルニアになる可能性があります。腰椎で発症した場合は「腰椎椎間板ヘルニア」となり、下半身にしびれや痛みが起きます。

・ヘルニアになった場合、痛みが強い間はとにかく安静にしましょう。

・ヘルニアは日々の生活習慣によっても起こる疾患です。リハビリの継続と同時に腰に負担のかかる行動をしていないか見直しましょう。

・腰に痛みがないときには、ストレッチなどの柔軟体操を意識して行うことで予防につながります。腰周りの筋肉をほぐし、体幹が鍛えられ腰痛やヘルニアの起こりにくい体づくりを心がけるようにしましょう。

 

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