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リハビリ中に意欲低下したら、どう対応すべき?

リハビリの知識

こんにちは!御所南リハビリテーションクリニックです。

リハビリはその時期(急性期/回復期/維持期)によって関わり方に違いはありますが、一般的には医師の診察結果を踏まえ、「理学療法士」、「作業療法士」、「言語聴覚士」はリハビリチームとして、患者様と共に二人三脚で取り組んで行きます。
その様な中、特にリハビリを効果的に続けるためにはモチベーションへの維持が不可欠であり、意欲的にリハビリを実施することで予後の回復スピードが早まりやすいという統計もあります。

しかし、リハビリを続けていくと思ったように回復せず、焦りや苛立ちが原因で患者様の意欲が低下することも少なくありません。

今回はリハビリ中に患者様の意欲が低下してしまった時、ご家族やスタッフがどう関わっていくべきか考えていきましょう。

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◆リハビリの意欲低下防止に大切な「患者様が主体となる」ということ

リハビリの実施計画や指導は医師ならびに各リハビリスタッフが主導権をとって実施しますが、実際にはスタッフが行うのはリハビリを通じて患者様が職場復帰や社会復帰を行うためのサポートです。

そのため、基本的には患者様主体のリハビリを実施することが何よりも大切です。
特に経験の浅いスタッフが行いがちな対応として、マニュアル通りの回復をすることにばかり目が行き、患者様一人ひとりの、元来持っている運動能力や体のクセなどを見ることがないままリハビリを進めてしまうことが挙げられます。

患者様も早く回復したいと思っているケースがほとんどですが、リハビリスタッフの指導により自分の今の能力以上につらいリハビリを実施してしまったことが、かえって意欲低下を招く可能性もあります。

まずは、患者様がどのようにリハビリと向き合いたいか、きちんとヒアリングし、実施計画の段階から二人三脚でのリハビリを開始するという意識が大切です。

 

◆リハビリの「辛さ」や「大変さ」に寄り添う

患者様が実施するリハビリは、以下の二つに分かれます。

・加齢や慢性疾患に伴い機能や能力の低下に対して行う
・急なケガや病気にかかり損なわれた機能や能力に対して行う

脳卒中などの疾患にかかった場合や事故によるケガは、昨日まで普通にできたことが急にできなくなった、もしくは動けなくなったというショックから、積極的なリハビリを行う意欲を持つまでには時間がかかるケースも多く見受けられます。

ここでリハビリスタッフやご家族が過剰に「リハビリをしましょう」と促すと、患者様自身はリハビリに対する目標や意味を見出すことができず、さらに意欲低下を増長させてしまいかねません。

加齢や慢性疾患によるリハビリも同様です。
「昔はできたのに、今はこんなこともできないなんて」と今の自分を否定的にみる患者様は、何らかのきっかけで自信喪失が進み、リハビリに対する積極性を失ってしまうことも珍しくありません。

いずれにしても、「今はできない」ということの辛さを感じている患者様の気持ちを汲み取りつつ、「少しでも努力をすれば、明日はできるかもしれない」と思わせるような助言を行うことが大切なポイントといえます。

 

◆激励するよりも「自分を理解してくれている」という実感を持たせる

では、具体的にリハビリスタッフやご家族はどう対応していけば、リハビリへの意欲低下を防げるのでしょうか。

基本的にリハビリスタッフからの声掛けは「命令」ではなく「指導」を意識します。
ポイントとして、
・否定的な言葉を使用しない
・過剰に励ますよりも、自分に理解者がいると感じてもらう
ことが挙げられます。

たとえば、高齢者のトイレトレーニングを行っている場合
「トイレで排泄できると気持ち良いですよね。だから一緒に頑張りましょう」と
「トイレトレーニングが進まないと、自宅へ戻れませんよ」といわれるのでは本人のやる気に大きな変化が生まれます。

また、周囲のスタッフやご家族とも連携し「△△さん、先週より手を握れるようになったのですね」とか、「今日は快適に歩けているみたいですね」などとリハビリの結果を共有しながら、できるようになったことをいくつか見つけて肯定してあげることでモチベーション維持が見込めます。
できることが増えていない日も時にはあるでしょうが、「毎日続けることが大切ですよね」などと、現状で肯定できることを見つけてあげましょう。

万が一、今日はリハビリを行いたくない、という申し出があった時も「やらないと回復しませんよ」という否定はNGです。
どうして「リハビリをやりたくない」と感じたのか?をヒアリングしたうえで「では次のリハビリまで、自宅で○○のリハビリはできますか?」「今日は○○だけにしませんか?」といった代替案を提案することが大切です。

 

いかがでしたか?
患者様にとって、病気やケガで運動機能や身体能力が低下している状態では、自己肯定感を維持することは非常に困難で、障害として立ちはだかるものです。

そこで周囲から否定的な対応を受けてしまうと、リハビリに対する意欲低下を増長させることにつながります。リハビリ中はメンタル面へのサポートも重要なポイントなのです。

 

◆まとめ

・リハビリの原則は「患者様主体」であることを忘れない
・リハビリを受けることになった辛さや大変さも周囲が理解してあげよう
・叱咤激励よりも、周囲の見守りや肯定的な声掛けが重要な意味を持つ

 

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