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注意障害とは?集中出来ない症状を改善するリハビリ方法

リハビリの知識

こんにちは、御所南リハビリテーションクリニックです!

今回は「注意障害とそのリハビリ方法」についてご紹介します。

作業中のミスが多くなる、同時進行で物事が進められなくなり混乱する、集中して作業が続けられなくなるといった症状が起こる「注意障害」は、怪我や病気により起こる後天性の症状です。

本人にとっては今まで出来た行動がうまく出来ないため、自信喪失や不安を抱いてしまいがちです。
自立した日常生活や社会生活を送るために、注意障害の症状や対処法、家族や周囲が気をつけるポイントについて知っておきましょう。

 

 

注意障害とは

注意障害とは「注意散漫で他の刺激に気が移りやすく、一つのことに集中出来なくなる」高次脳機能障害の一つです。

高次脳機能とは、知覚、記憶、判断など、人間が人間らしくあるための脳の認知機能の総称で、五感からの情報を記憶や言語と結びつけ、実際に自身の行動に変換するための高度な脳の機能です。

注意障害になると、周囲からの刺激に対して意識を向けられなかったり、一つの事に集中できなくなったりと仕事や日常生活でミスが多くなります。

具体的には、次の4つの障害に分けられます。
1つの分野に関する障害が起きることもあれば、複数の注意障害が認められることもあります。

 

① 持続性注意障害

注意を一定時間持続できなくなります。
注意の強さが変動しやすく保ち続けることが困難な場合があるため、活動全体に一貫性がない、まとまりが乏しいことがあります。

 

② 選択性注意障害

対象物に対し注意のスポットライトをあてられなくなります。
様々な刺激から適正な情報のみを見つけることができません。

 

③ 転換性注意障害

注意を向ける対象を切り替えることができなくなります。
目的と関係ない情報の影響を受けやすく、取捨選択が難しくなります。

 

④ 配分性注意障害

多方向に注意を向けることができなくなります。
2つの作業を同時に行うことができません。

 

 

「注意散漫」だけでなく「視界の一部を見落とす」注意障害の症状

注意障害には、先ほどご紹介した注意散漫な状態で集中出来なくなる「全般性注意障害」以外にも、視界の一部を見落とす「方向性注意障害」という症状が出ることもあります。

 

全般性注意障害

「全般性注意障害」とは、一つのことに集中出来ず、長時間作業することが困難な障害です。

 

方向性注意障害

「方向性注意障害」とは、脳の損傷により視覚情報を処理することが出来ず、見えている半分の空間を認識出来ない・見落とすといった症状です。
特に右脳の損傷によって左側の空間を無視するといった症状がよくみられます。
重度になると、見えている反対側に注意を促しても見ることが出来なくなります。
病巣と対側(=たいそく、身体の反対側)の刺激を見つけて応答することの障害を「半側空間無視」といいます。
これは病巣と対側への方向性注意の障害と考えられます。

 

 

注意障害と判断する検査方法とは?

注意障害の検査方法は、TMT(Trail Making Test)が一般的で、「TMT-A検査(数字を順番に並べる作業)とTMT-B(数字と文字の切り替え作業)」を行います。
この検査により注意機能の持続や視覚的な注意機能などを検査できます。

TMT検査方法は、紙とペンとストップウォッチを用意し、2つの検査を1セットで行います。

 

TMT-A検査

紙にランダムに記載された1〜25の数字を1から順番に線で結び、作業完了までの所要時間を測ります。

 

TMT-B検査

紙に記載された1〜13の数字と「あ」から「し」のひらがなを、
1→あ→2→い…
といったように数字とひらがなを交互に結び、作業完了までの所要時間を測ります。

TMT-B検査のみ制限時間が5分と決められており、時間内にできなかった場合は評価不能と診断されます。

 

どちらの検査も、必ず練習を行ってから本検査を行い、本人にしっかり説明をします。
検査をする側は目で見て観察することも重要です。

 

他にも「視覚的抹消検査(Visual Cancellation)」「聴覚性検出検査(Auditory Detection)」「ストループテスト」などがあり、注意障害だけの検査はなかなかありません。

 

 

注意障害の訓練やリハビリ方法

高次脳機能障害のリハビリは、発症から1年以内が一番効果的と考えられています。
発症後は意識障害と重なっている可能性もあるので、予後の回復度合いを見ながら少しでも早い段階から訓練をするのが一般的です。

注意が続かない症状においても、特定のことをよく間違える方もいれば、日常生活全般において注意散漫になる方もいます。

病院やリハビリ施設では初期訓練を細かく配慮して、次のようなアプローチでリハビリを組み合わせます。

 

非特異的介入

全体的に注意力が続かない方へ、注意力が続く時間を延ばすための反復練習をします。
例えば次のような課題を一定の時間内で解く練習を繰り返します。

・パズル誌
・間違い探し
・ゲーム(かるた、トランプなど)
・電卓計算
・辞書調べ
・電話帳調べ
・集計作業
・入力作業

 

特異的介入

ある部分の注意力が続かない方へ、その分野の注意力が増すようなトレーニングをします。
例えば、複数の選択肢がある場合にふさわしいものを選択するための注意力(判断力)を磨くトレーニングや、同じことを定期的に繰り返すことが困難な方へ反復練習をします。

 選択制注意    選択抹消課題 
 持続性注意   目標刺激の持続的課題 
 転動性注意   交代制課題 
 分配性注意    二重課題 

 

段階的介入

注意力が続かない方へいきなり目標値の訓練を行うことはタブーです。
例えば5分持続することを目標としている作業があるとき、いきなり5分で達成するための訓練をするのではなく、確実に達成できる量から少しずつ目標値を伸ばします。

訓練に到達する前の外部との関わり方も、次のような段階を経てアプローチを行います。

・訓練導入前は刺激を制限します
・訓練導入後は積極的な刺激の導入をし、注意機能や行動を活性化させます
・生活環境を調整します(個室から多数室へ)
・対応者を調整します(決まったスタッフから複数のスタッフへ)
・訓練環境を整えます(個別からグループへ)
・注意機能に対する訓練を行います
・適応的行動スキルを身につけます

 

環境を整える

リハビリ初期では、健常者でも注意力を損ないやすいような「音楽や話し声」「他者の介入」などをなるべく遠ざけて、集中しやすい環境下にて訓練を行います。

リハビリの段階を経ていくと、あえてテレビやラジオの音がするところや、他の人が動くところで訓練をすることもあります。

負荷をかけて訓練することは、できることを増やすのが目的ではありますが「この状況になると注意力が著しく低下する」といった自身の障害の特性を理解し、自分で対策を練るためにも必要なことと言えます。

 

 

周囲からの関与と、リハビリの最終目標の設定

注意障害のリハビリは自宅でも定期的に行うことが大切ですが、訓練時は家族や周囲の人による本人への配慮がリハビリの効果を高めます。

最初の段階では個室で決まった担当者が対応し、本人のレベルに適切に合わせた訓練作業をし、休む時間を作って注意散漫を引き起こさない環境を作ってあげます。
作業が出来たら必ず褒め、自尊心を保たせてあげることがとても重要になります。

パズルなどの「目に見える目標」を達成することが、最終的な目標ではありません。

例えば、パズルなら2分間集中できると把握できた人へ、
・日々の身支度を2分で終わる作業に分割して組み合わせる(本人)
・分からなくなったときに見られるヒントを掲示しておく(家族からのフォロー)
というように「生活の質を上げることがリハビリの目標」といえます。

 

 

注意障害と向き合うためには家族と周囲の協力が必要

注意障害は、事故や怪我などの脳の損傷によって起こりうる障害ですが、しっかりとリハビリを行えば回復が期待できる障害でもあります。

日常生活において欠かせない機能に障害があることは、本人も辛いと自覚しているケースが多いです。
そのことを家族や周囲も理解し、リハビリが行いやすい環境づくりを工夫しましょう。

 

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