歩行のリハビリ方法について知ろう!歩行訓練の種類やポイント
こんにちは、御所南リハビリテーションクリニックです。
今回は「リハビリテーション中の歩行訓練方法」についてのお話です。
脳卒中やケガの後遺症から歩行が困難になると、多くは車椅子での移動もしくは生活となる事から活動範囲が制限されやすく気持ちも滅入ってしまいがちになります。
また、高齢の患者様の場合、寝たきりの要因となりかねません。
これらの状況を避けるためにも今ある能力を維持し、できるだけ自立歩行ができるようにリハビリテーションを続けることが、健康に生活を送るための大切なポイントになります。
では、リハビリテーションの現場ではどのような歩行訓練が行われるのか、ご紹介します。
リハビリテーションで歩行に必要な筋力を回復させる
病気やケガの治療で安静期間が必要なケースは、安静期の長さと比例して、筋力も低下します。
急性期リハビリテーションでは体を少しずつ動かせるようになった段階から、ケガやマヒのない部分の筋肉はなるべく動かし、筋力の低下を最小限にするとともに、歩行に使用する筋肉を取り戻すようストレッチやマッサージを施します。
いわゆる健康な箇所を健康なままに維持する、または取り戻す事が大切です。
つまり、早い段階でリハビリを開始しなければ、足首や膝関節、股関節周りの筋肉は特に凝り固まりやすく、放っておくと本格的な歩行のリハビリを開始する段階になった際、十分に筋肉を動かすことが出来ません。
ですので主に、理学療法士の補助のもとに関節の可動域を維持・拡大するストレッチを行います。
・股関節を回す
・膝の曲げ伸ばし
・足首の曲げ伸ばし
また、ふくらはぎや太ももの筋肉に刺激を与えるマッサージも効果的です。
歩行器などを用い、自分の足で歩けるように訓練する
回復期リハビリテーションでは、その人の能力に合わせて実際の歩行訓練を行います。
リハビリテーション初期の段階では、以下のような器具を必要に応じて使用します。
・平行棒
・杖T字杖/4点杖/ロフストランド・クラッチなど
・歩行器キャスター式歩行器/歩行車など
歩行は単に左右の足を交互に動かすというものではなく、一方の足で地面を蹴り上げている最中に重心移動をし、他方の足で着地する、という動作をなめらかに繰り返すことで成り立ちます。
マヒやケガによる場合、動作の補助としてT字杖や松葉杖を使用しますが、杖と足をどのように動かすと効率よく移動できるか、というルールを決めてリハビリに取り組むことがポイントとなります。
また、この杖と足を動かす順番のルールを「歩行様式」と呼び、大きく分けて4つの歩行様式があります。
一側(片足)がマヒしている場合
① 三動作歩行 杖→患側→健側
※患側(マヒやケガをしている側) 健側(マヒやケガをしていない側)
② 二動作歩行 普通の歩行と同じタイミングで患側と杖を同時に出す
③ 四動作歩行 右杖→左足→左杖→右足
両側(両足)がマヒしている場合
④ 大振り歩行 両杖→両足を振り子の様に出す
どの様式を使用するかはマヒの度合いや必要な補助具に応じて決定されます。
この他に、杖の長さや持ち方(握り方)にも効率よく移動する上ではアドバイスや指導が必要です。
医療機関におけるリハビリテーションでは、平行棒を使用したリハビリが多いのが特徴です。
安定した歩行や動作訓練を獲得する上で、平行棒を使用して次のようなリハビリテーションが行われます。
・座位から立位に自分で移行する(立ち座り訓練)
・立位から歩行に移行する(平行棒内歩行訓練)
・方向転換をする(方向転換動作訓練)
・スクワットなど筋力増強の補助
・段差を使用した階段昇降の練習
患者様は平行棒の間で移動を行いますが、リハビリスタッフはすぐ近くで介助もしくは見守りを行い、転倒事故防止に努めます。
特に高齢者は転倒事故が原因で要介護の状態へと移行するケースも多く、注意が必要です。
近年注目されている「歩行訓練ロボット」
従来の装具を使用した歩行訓練を行うとき、ご本人の能力や体力がある程度残っている場合には十分な効果を得られるでしょう。
しかし、高齢者の方や長期間寝たきり状態の方が歩行訓練する際には無理がかかってしまうことも珍しくありません。
このような体調の患者様に対し、全身をサポートしたうえで効率よく下肢の必要な範囲に働きかけ、歩行能力を回復させる「歩行訓練ロボット」が近年注目を集めています。
現状は一部を除き※注、保険適用にならないリハビリ方法であり、そのため、早急に国や自治体からの助成金制度の整備が求められる分野でもあります。
※注意事項
一部ロボットスーツ(HAL)医療用下肢タイプでは神経・筋難病疾患を対象に保険適応が認められています。
歩行に不安を抱える人は多く、健康な方でも加齢や疲労により潤滑な運動ができなくなった、と感じる人も少なくありません。
毎日少しずつでもリハビリや運動を続けることが、快適に歩行するための近道です。
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