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維持期(生活期)リハビリテーションとは?リハビリテーションの基礎知識

リハビリの知識

こんにちは御所南リハビリテーションクリニックです!

前回の「回復期リハビリテーションとは?リハビリテーションの基礎知識」では日常生活に戻るためのより実践的なリハビリテーションを行う「回復期リハビリテーション」についてお伝えしました。

今回は、リハビリテーションの3つ目のステージである「維持期(生活期)リハビリテーション」の内容や特徴などについてご紹介します。

維持期リハビリ

■維持期リハビリテーションと生活期リハビリテーションって違うの?

インターネットや書籍でリハビリテーションのステージについて調べようとすると「維持期リハビリテーション」「生活期リハビリテーション」「維持期(生活期)リハビリテーション」という表現を目にすることがあります。

これらは実際のところ同じ内容のリハビリテーションを指しています。

より学術的な場所では「維持期リハビリテーション」、臨床的・患者様向けのサイトなどでは「生活期リハビリテーション」と表現することが多いようですね。

■維持期(生活期)リハビリテーションと呼ばれる時期

リハビリテーションは治療をつないでいくバトンタッチの医療です。

命の危機から脱した急性期では症状の安定化とともに早期離床を目指し、合併症の予防ならびに集中的なリハビリを行える状態を目指します。

その後の回復期では回復能力がもっとも高い時期であり、急性期病院と比べて手段的日常生活動作IADL(Instrumental Activity of Daily Living)訓練を中心に実施、まずは自宅復帰を目指します。

急性期、回復期を経て症状ならびに障害の状態が安定した後、在宅で生活している時期が維持期(生活期)と呼ばれます。つまり、既に在宅生活ができている時期に行うリハビリテーションは維持期(生活期)リハビリテーションと呼ばれます。

 

■維持期(生活期)リハビリテーションの目的はなにか?

その目的はかつて文字通り、それまでの急性期、回復期で得たリハビリの成果を「維持」することにありました。

これは急性期、回復期それぞれのステージが「入院」生活であるのに対し、維持期(生活期)が「在宅」生活になる環境の変化がゆえに、どうしても回復期リハビリテーション病院を退院する時が回復のピークとなってしまう傾向が大きいことがその由来です。

すなわち、在宅生活へと環境が変わっても、それまでの訓練の効果が落ちてしまわないように「維持」することに主眼を置いて訓練がなされていました。

■現在の維持期(生活期)リハビリテーションの役割は変わった

しかし、現在の維持期(生活期)リハビリテーションが担う役割はそれだけではありません。

脳卒中など何らかの疾患による障害を完全に克服することは難しいのが実情です。

無事に在宅生活を復帰させたとしても、それまでの生活に比べると「あれ?こんなこと 前は簡単にできたのに・・・。」というような不便さは大いに考えられ、言い換えるとどうしても「生活の質」という点においては、以前に比べると下がってしまいます。

リハビリテーション医療の技術は日々進歩しています。様々な専門的治療法なども確立され、現在では「生活の質(=Quality Of Life)」の改善が大きな役割として期待されるようになってきました。

 

■維持期リハビリテーションを継続するさまざまなケース

例えば、脳卒中などで急に元来の機能を損なってしまった患者様がいたとします。

1、本来の生活における運動機能と同様、または以前と近しい運動機能に対し、時間をかければある程度回復することが見込める場合。

2、急性期、回復期で十分なリハビリテーションの機会が得られなかった場合。

3、機能障害を残したまま暮らしているが、生活の質を少しでも向上したい場合。

4、リハビリテーションを中断すると再び機能が損なわれてしまう場合。

たとえばこのような場合は、その目的に応じて「維持期(生活期)リハビリテーション」を継続することになります。

■維持期(生活期)リハビリテーション?通所リハビリテーション(デイケア)?同じもの?

これまで維持期(生活期)リハビリテーションの内容は基本的に「医療保険」のリハビリテーションを指します。これに対し、通所リハビリテーションは「介護保険」のリハビリテーションを指します。両者は似ているようで、全く違います。

維持期(生活期)リハビリテーションの目的

それまでの訓練効果を維持するだけでなく、医師、看護師、国家資格を持つセラピスト(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)を始めとする適切な指導に基づくリハビリの実施により機能障害の改善、しいては「生活の質向上」を目指す。

通所リハビリテーションの目的

利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう、利用者が施設(老人保健施設、病院、診療所など)に通い、食事や入浴などの日常生活上の支援や、生活機能向上のための機能訓練や口腔機能向上サービスを提供する。

なかなか言葉としては複雑ですが、医療のリハビリは「生活の質向上」を目指すもの。介護のリハビリは「日常生活の自立」を目指すもの。似ているようで、少しずつ目的は違うということを抑えて頂ければと思います。

介護保険

維持期(生活期)リハビリテーションは「介護保険」対象?

これはもうピンと来られる方も多いかもしれません。「維持期(生活期)リハビリテーション」は医療のリハビリですから、基本的に医療保険の対象になります。これに対して「通所リハビリテーション」は介護のリハビリですから、基本的に介護保険の対象になります。

ここまではシンプルかと思います。

しかし、注意しなければならないのは「①医療保険のリハビリには基本的に制限がある」「②医療保険と介護保険のリハビリは併用できない」ということです。

「①医療保険のリハビリには基本的に制限がある」について

具体的には「発症からの日数」のことを指します。これは医療機関の対応どうこうではなく、制度によるものです。

例えば、脳卒中と呼ばれる、脳梗塞、くも膜下出血、脳出血などを発症された場合、その後遺症に対するリハビリは「発症から180日」が保険で受けられる期間となります。そのほか、骨折などこれと同様に、保険で受診できる期間には制限があります。

ただし、例外的にこの上限の対象外となる疾患「パーキンソン病などの難病疾患」「高次脳機能障害」があったり、保険外(自費)であれば受診できたりと、日数が相応に経ったからと言ってあきらめなければいけないというものではありません。

基本的に保険でリハビリを受けられる期間には制限があるということは抑えながらも「あきらめたくない」そんな思いをお持ちの方は決めつけずに、まずは一度専門家に直接問い合わせをしてみることをお勧めします。

「②医療保険と介護保険のリハビリは併用できない」について

先ほど医療のリハビリは機能回復と生活の質向上を目指すもの、介護のリハビリは日常生活の自立を目指すものと、似ているようで目的が違うことをご紹介しました。
これら異なる目的が同時に存在することは考えづらく、保険制度もこれらを「同時に併用すること」を認めていません。ただし、医療のリハビリを一度使ったら、介護のリハビリを利用することができないということではなく、認められていないのはあくまで「同時に併用すること」であることを強調しておきます。

例えば、普段は介護のリハビリを利用しているけれど、一定期間集中的に医療のリハビリを利用して少しでも回復したいという場合は一度、介護のリハビリの「利用を中止する」ことで、医療のリハビリを利用することも可能です。

ただし、医療のリハビリを医療保険で利用しようとする場合は、先ほどの日数の制限などが当てはまる場合もありますので、こちらも詳しくは直接お問い合わせいただくことをお勧めします。

◆まとめ

急性期リハビリテーション、回復期リハビリテーション、維持期(生活期)リハビリテーションといったリハビリテーションにおける3つのステージをご紹介しました。

これまでの入院を前提とする「急性期リハビリテーション」「回復期リハビリテーション」と比べると、少し複雑だったかもしれません。
御所南リハビリテーションクリニックは在宅生活をより過し易くより快適に過ごす為に、リハビリのやり残しが無い様サポートしております。

いずれも機能の回復や改善・再建・維持といったことが目的でした。リハビリテーションには4つのステージがあるとお伝えしましたが、4つ目の「終末期リハビリテーション」は今までの3つのリハビリテーションとは少々違う性格を持ち合わせています。

次回は、4つ目のステージ「終末期リハビリテーション」についてご紹介します。

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