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リハビリテーションにおける「アウトカム評価」とは?

リハビリの知識

本記事は2016年8月現在での情報でまとめた記事であり、記事内容については2018年4月の診療報酬改定により、一部情報が変更されているものもございますのでご注意ください。今後、制度改定を踏まえた記事も順次公開予定です。


こんにちは、御所南リハビリテーションクリニックです!

2016年から2017年にかけて、リハビリテーションの現場、特に回復期リハビリテーション病棟(以下、回リハ病棟)には「アウトカム評価」が取り入れられるようになりました。

初めて耳にされる方もいるかも知れません。ちょっと専門的な話しです。

アウトカム評価とはどのようなもので、どんなメリット・デメリットがあるのか、一緒に見て行きましょう。

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リハビリテーションにおける「アウトカム」とは何だろう?

まず「アウトカム」を直訳すると「結果・成果」です。

経済・経営の研究分析や医療現場など様々な業界で、何らかの効果測定をする場合に「アウトカム」という用語は使用されます。

 

では、リハビリテーションの現場では何の「結果・成果」の効果測定を行うのでしょうか?

一般的にはケガや疾病による機能障害において改善度や回復率など「リハビリテーションを実施することにより臨床上の成果がどれだけ得られたか」を数値化することを指します。

 

ちなみに、クリティカルパス(リハビリテーションがどのように行われるか、手順や内容についてを一覧にしたもの)のなかで設定される目標も「アウトカム」ということがありますが、今回は「臨床上の成果=アウトカム」に特化して取り扱います。

 

 

アウトカム評価は施設の実績を表す指標

「2016年度 診療報酬改定」では、回復期リハ病棟の各患者に対し、アウトカムの内容を数値化し、施設の実績として数値化する「アウトカム評価」が導入されることになりました。

 

対象となる条件

(1)6か月間に回復期リハビリ病棟から退棟した患者数が10名以上

(2)6か月間に回復期リハビリ病棟で提供したリハビリが1日平均6単位以上(疾患別リハビリの提供単位数/回復期リハビリを要する状態の患者の入院日数)

 

これら2つの基準を満たす回リハ病棟が対象になります。

質の高いリハビリテーションの提供や患者さんの一日も早い機能回復を目的として、基準以上の成果を出している回リハ病棟には評価を設け、基準以下の施設にはリハビリテーション点数が入院料に包括化されることになりました。

 

 

アウトカム評価が影響する疾患別リハビリテーション料

リハビリ風景
回リハ病棟では、大きく分けて入院費用としての「入院料(入院すれば必ず発生するもの)」と、リハビリを受けて頂くための「疾患別リハビリテーション料(実績の分だけ発生するもの)」とに分けることができます。

大きく影響するのは、この疾患別リハビリテーション料の部分です。

現行では、1日最大9単位までが保険内での実施を認められています。

 

しかし、今回のアウトカム評価(結果・成果)で基準を満たしていないと、これが1日最大6単位までしか保険内での実施を認められなくなってしまいます。

包括化されるのは仮にアウトカム評価の基準を満たさずに、7単位以上を実施した場合の疾患別リハビリテーション料が入院料に包括される(結果、病院の負担になるというケースも・・・)ということです。

※単位:診療報酬上は「時間」を表し、1単位20分とされています。Cf.6単位=2時間、9単位=3時間

 

ある一定水準以上の実績を出している(≒適切なリハビリを提供していると認められる)施設ではこれまで通り1日最大3時間、保険内で訓練が受けられます。

 

今回、アウトカム評価が導入されたのには、「今まで実績を上げ、頑張ってきた施設に正当な評価を与える」ことが主であり、より一層リハビリの「質」が重要視されるようになって来ているとも言えます。

 

 

評価の指標は、日常生活動作の改善度合い!

ところで、リハビリテーションの改善実績は、「1入院当たりの平均的なADL(日常生活動作)の改善度合い」によって決定されます。

 

具体的には、FIM(フィム、Function Independence Measure:機能的自立度評価表)を指標とします。

回リハ病棟 在院期間の総和を、状態ごとの回リハ病棟入院料の算定上限日数の総和で割ったもので「入院患者の入院時から退院時までの期間で、どのくらいFIMが増えたか(FIM利得)」の総和を割った数値が算定値となります。

 

ケース①

脳血管疾患150日期限の患者が120日で退院し、退院時にFIMが25点改善したとすると・・・

在棟日数:120日算定上限日数:150日=0.8

FIM利得:25点 0.8 = 31.25

 

ケース②

脳血管疾患150日期限の患者が150日で退院し、退院時にFIMが25点改善したとすると・・・

在棟日数:150日算定上限日数:150日=1.0

FIM利得:25点 1.0 = 25.00

 

上のケースはそれぞれ一人の患者さんを想定したシミュレーションです。

この評価に於いては、年4回、3か月ごとの報告が必要となるので、その対象の期間内にリハビリを実施したケースの合計で算定することになります。

この数値の基準は27と設定されており、年4回の報告で27未満という結果が2回連続で続いてしまった場合には1日6単位を越えるリハビリテーション料を包括するということになります。

 

 

改定の評価が確定する時期は2017年4月

なお、2016年4月からこの改定は取り入れられ、実績の換算がスタートしており、各リハビリテーション施設の評価が確定するのは2017年4月からとされています。

つまり、2016年10月から始まる3か月ごとの報告内容をもって、2017年4月に各施設の評価が確定することになります。

このアウトカム評価を基準とした診療報酬改定は「今まで実績を上げ、頑張ってきた施設に正当な評価を与える」ものです。

それは結果、患者さまにも早い回復を提供できることにつながりますし、診療報酬の軽減につながると期待されていますが、一方で問題点もはらんでいるとの懸念があります。

 

 

アウトカム評価導入のメリットはなにか?

アウトカム評価導入にあたり「FIMの増加率が高い=リハビリテーションの質が良い」、「入院期間の短い施設=短期間で効率のよいリハビリテーションの実施ができる」といったリハビリテーション技術の向上・底上げが徹底されつつあります。(冒頭でも、リハビリの質が重要視されつつあることはご紹介しましたね?)

これにより、最終的に医療費の削減にもつながるといった「医療従事者・患者・行政」のいずれにもメリットがあります。

 

 

アウトカム評価導入のデメリットは?

しかし、この「数値だけで評価」といった基準では、「短期間で改善の見られる症状の軽い人から受け入れを行う施設」や「たまたま重症の患者がいない場合」も高評価になってしまうことが想定されます。

また、リハビリテーションの効果は、リハビリテーション開始後が一番実績が上がりやすく、徐々に回復度合いが落ち着くのが一般的です。このため、入院期間の短縮のために早期退院を促されるケースも考えられます。

そして施設内に十分にスタッフがいる場合と、技術はあっても人数が少なく十分なケアがいきわたらないケースでも評価に差が出ることがあります。

 

 

まとめ

・「アウトカム」は結果・成果で「アウトカム評価」はリハビリテーション施設の実績を評価する指標である。

・診療報酬改正により、アウトカム評価を基準として実績の高い施設を優遇する制度に。

・リハビリテーションの質の向上につながるが、数値を上げやすい患者を選択することなどが可能で、正当に上げるかどうかはモラルにもよる部分も。

 

リハビリテーションの現場では重要な問題ですがご理解いただけたでしょうか?

まだまだ問題もありそうな「回復期リハ病棟におけるアウトカム評価」ですが、きちんと実績のある施設が正当な評価を受けること自体はこれからの医療・介護の現場には大切なモチベーションにもなります。

 

いずれにしても実際に運用が進み、どのように変わっていくか注目の改正といえます。

当院はリハビリ外来専門のクリニックですが、母体である京都大原記念病院は今回のアウトカム評価の対象となる回リハ病棟を4病棟(172床)を保有しており、注目して行きたいと思います。

しかし、診療報酬上の影響有無ではなく、リハビリ専門病院を核としたグループとして、改めてリハビリの「質」の向上を目指しまたその可視化に取り組んで参ります。

 

※本記事は2016年8月現在での情報でまとめた記事であり、記事内容については2018年4月の診療報酬改定により、一部情報が変更されているものもございますのでご注意ください。今後、制度改定を踏まえた記事も順次公開予定です。

 

 

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