リハビリが辛いとき、どうするべき?
こんにちは、御所南リハビリテーションクリニックです!
今回は「リハビリが辛いときの乗り越え方」についてのお話です。
病気やケガの程度によってはリハビリ期間も長くなり、停滞期には思うように動かせない患部を見て「リハビリ自体をあきらめたい!」「もうこれ以上続けても治る見込みがない、仕方がない」と思う人も少なくありません。
しかし、毎日少しずつでも続けることがリハビリには大切なポイントとなり、長期間リハビリを休むのは得策とは言えません。
そんな「リハビリが辛い」とき、ご本人や周囲のご家族はどう乗り越えていけばいいか、考えてみましょう。
痛すぎるリハビリは、適切でない可能性も
リハビリが辛い理由が、「痛いから」だとしたら、その痛みの強さによっては、今行われているリハビリが適切ではない可能性があります。
まず、安静期に動かすことのなかった筋肉を急に動かすと、筋肉の中にある神経に刺激を与えやすく、ときにじわっとした痛みや筋肉痛のような痛みを伴うのは、当然です。
しかし近年では、リハビリの4段階(急性期・回復期・維持期・終末期)のうち、急性期からリハビリを始めるといった考えが中心になってきました。
これにより、筋肉の萎縮や関節の拘縮の発生を予防するに一連のリハビリ計画が立てられるのが一般的です。
もちろん、症状やケガの状態・回復度合いにより、一時的に強い痛みが出るリハビリを行うこともあります。ただこの場合も、「耐えられる最小限の痛み」にとどめられるよう、理学療法士や作業療法士が調整しながらリハビリを実施します。
常に強い痛みを伴い、リハビリを受けるのが苦痛に感じる場合には、我慢せず担当の医師・理学療法士・作業療法士へ相談しましょう。
停滞期は誰にでも訪れる
スポーツをする方がケガをしたり、働き盛りの方が脳卒中などの後遺症からリハビリを行うときに、患者様の「焦り」が見えることがあります。
例えば、「早くスポーツがしたい」「早く会社に戻りたい」といった気持ちと、以前のように運動・趣味や活動ができない自分とのギャップに苛立ちを覚え、自暴自棄な気持ちからリハビリを辞めたいと思ってしまうといったケースがあげられます。
このような気持ちは、まじめで責任感が強く、真剣にスポーツや仕事などに取り組んでいた人に起こりやすい傾向にあります。
ここで意識しておきたいのが、どれだけまじめにリハビリを続けていても、回復度合いが緩やかに感じられる「停滞期」は誰にでも来ます。
また、リハビリをどれだけ続けても、ケガや病気にかかる前以上に患部が丈夫になるケースは多くないのも現状です。
停滞期には「患部を動かさなければ・回復させなければ、きっと回復するはず」と焦るのではなく、体全体から見て「今動かせる部位」の筋力を上げ、相対的に運動能力を上げることに着目しリハビリを続けた方が、早く元の生活に戻れる可能性も高くなります。
患部が思うように回復しないときこそ、焦らず患部だけを見るのではなくバランスのとれたリハビリを続けることに心掛けましょう。
周囲は「応援」ではなく「見守る」気持ちで
ご家族や近しい友人がケガや病気にかかってリハビリをしているとき「頑張って」「早く治さなきゃね」などと声をかけることがあります。
もちろん、患者様ご本人のためにも早く回復してほしい、と願う気持ちの表れであり、声をかけた方にとっては、心配の気持ちから伝えた言葉であることはわかります。
しかし、リハビリは運動機能が損なわれた状態から行うため患者様(当事者)にとっては
・思うように動かせない苛立ち
・果して治るのか?への恐怖心
・所属していた仲間からおいて行かれる疎外感
・回復した後の生活に対する不安
・痛みに対する不安
などがどうしても患者様の頭をかすめます。
すなわち、患者様はリハビリそのものだけでなく、リハビリに関する気持ちの変化とも向き合うこととなり、大きなストレスを抱えることも珍しくありません。
患者様が「リハビリが辛い」と訴えた際には、安易に「今やらなきゃ治らないよ!」「頑張って」と喝を入れず、なぜ辛いと思ったのか、その後ろにあるストレスは何なのか?を聞いてあげることも大切です。
ときには甘えともとれる発言を患者様がお話されることもあります。
そんなときこそ「大変だったね」という一言が「また明日リハビリを頑張るための支え」となるのです。
※ただ聞いてくれるだけでも心は救われるものです。
リハビリは健康な状態に近づけるために必要不可欠なものです。
人によっては、様々な辛さが伴うかもしれません。
しかし、強い痛みや不安は、リハビリ手順の変更や周囲の理解によって軽減できます。
もしリハビリが辛いと感じたら、患者様の意思でリハビリを中止する前に、その胸の内を担当職員やご家族に伝えてみることをお勧めします。
まとめ
・強すぎる痛みで辛いなら、リハビリ内容の見直しを相談してみよう
・停滞期は誰にでも来るので、患部の回復を焦らず、全身の筋肉維持に努めるのも一つ
・家族や友人は安易に叱咤激励せず、ときにやさしく見守ることも大切
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