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遂行機能障害とは?計画的な行動が出来ない症状について

リハビリの知識

こんにちは、御所南リハビリテーションクリニックです!

今回は「遂行機能障害のリハビリ方法」についてご紹介します。

遂行機能に障害が出てくると、物事を順序立てて実行することが難しくなり、仕事や家事など段取りが悪くなります。
1つの行動なら出来ても、2つ以上の行動になると同時にはできないということも。

例えば、
・洗濯をしながら料理など、1つは出来ても2つの行動となると出来ない…
・スマートフォンやパソコンの操作が分からない…
・買い物で複数の商品を比較する、割引サービスなどが分からない…
など、作業が非効率になります。

社会的に健全な生活を送るためにも、遂行機能障害の症状や検査方法、リハビリ方法をしっかりと理解しておきましょう。


 

遂行機能障害とは

遂行機能障害とは、「目標を設定し、そのプロセスを計画、効果的に行動していく事が出来なくなる」高次脳機能障害のひとつです。

高次脳機能とは、知覚、記憶、判断など、人間が人間らしくあるための(脳の)認知機能の総称です。
五感から感じた情報を記憶や言語と結びつけ、実際に自身の行動に変換する為の高度な脳の機能のことを言います。

遂行機能は(高次脳機能と)他の脳機能と組み合わせて実行されます。
例えば集中して作業をするときに、必要な注意力が低下したり、手順を覚えておくことが困難になったりすると潤滑に作業をすることができなくなります。
このように注意機能や記憶機能などに影響されている可能性もあります。

遂行機能障害になると、自身で物事の優先順位が付けられなくなり、効果的な判断が出来なくなります。
結果的にいきあたりばったりの無計画な行動や、指示をされないとどうしていいか分からなくなり立ち往生してしまいます。

 

遂行機能障害の原因と具体的な5つの症状

遂行機能障害の主な原因として言われているのは、外傷や脳卒中による前頭葉部位の損傷です。

また、細菌やウイルスの感染による脳の損傷や、水におぼれ長時間窒息状態になるなど、脳に酸素が届かないことが原因でも発症します。

遂行機能障害の代表的な5つの症状をご紹介します。

①衝動的な行動を取る

計画的な行動が出来ないので、刺激に対して衝動的な行動を取りがちになります。
例えば仕事をしている最中に別のことに注意が向き、仕事を効率的に進めることが出来なくなることや、ゴールを決めずに作業を開始してしまうことがあります。
 

②行動が開始できない

目標が立てることが出来ない、もしくは目標を立ててもプロセスが計画出来ないので行動を開始できません。
周囲からは、無関心で活動力や自発性が欠けているように見えてしまう可能性もあります。
 

③受動的になる

1つのことを実行することは出来るので、誰かに指示をされると行動出来ます。
ただし指示が無いとどうしていいか分からず行動できなくなります。
例えば日常生活の中でも、作業の順序を全てメモし、その通りでないと物事を進めることが出来ません。
 

④客観的に自分を見られない

注意を持続させて客観的に自分を見ることが出来なくなるので、その場その場の状況の変化に応じて対応することが出来なくなります。
第三者目線で自分の行動を評価することや分析・改善することが出来ないので、同様の失敗を繰り返すことも少なくありません。
 

⑤複数の作業が出来ない

遂行機能障害の大きな特徴の1つですが、同時に2つ以上の作業が出来ません。
日常生活では、洗濯をしながら料理をするといったことが出来なくなります。
優先順位も付けられないので、2つ以上のことを頼まれると行動に移せなくなります。

 

BADSとWCST、2つの代表的な遂行機能障害の検査方法

遂行機能障害かどうかの自己評価は難しく、日常生活上の問題点や行動を客観的に評価できる心理検査方法が一般的な手法です。

代表的な検査方法がBADS (遂行機能障害症候群の行動評価)と、WCST(ウィスコンシンカード分類課題)の2つがあります。

 

BADS Behavioural Assessment of the Dysexecutive Syndrome (遂行機能障害症候群の行動評価)

目標の設定、プランニング、計画の実行、効果的な行動という遂行機能の4つの要素を、カードや道具を使った6種類の下位検査と1つの質問紙で検査します。

規則変換カード、鍵探し、時間判断検査など、様々な状況での問題解決能力を総合的に評価できる特徴があります。

 

WCST Wisconsin Card Sorting Test(ウィスコンシン・カード分類課題)

赤、緑、黄、青の1~4個の三角形、星型、十字型、丸からなる48枚の図形のカードを示し、分類カテゴリー分けを行い、被験者の反応をみて検査します。

一般的に前頭葉機能の検査で用いられることが多く、問題点を明確に判断することが出来る特徴があります。

 

遂行機能障害のリハビリテーション訓練方法

遂行機能障害のリハビリテーションでは、解決方法や計画の立て方を一緒に考える訓練や、マニュアルを利用して手順どおりに自分で作業を遂行する訓練、スケジュールで枠組みをして行動をパターン化する訓練、遂行結果のフィードバックを行う訓練などがあります。

実際の課題例としては、
・ワークブックやトランプなどを活用した机上作業課題
・パズルや積み木を組み立てるなどの作業活動課題
・家事や予定管理など日常生活動作課題
・書類作成などの職業生活課題
・数人で作品を制作するグループ課題
・スケジュール管理など社会生活課題
などがあります。

 

遂行機能障害は根気よくリハビリすれば改善出来る!

遂行機能障害は、非進行性の障害です。(もし症状がひどくなった場合は損傷部位が増えたことになります)

遂行機能障害は気長にリハビリを日々行っていくことで、自分に合った対策を練ることができるようになります。

リハビリ課題を行っている最中でもし作業が失敗しても、その失敗から何を学び、どうやって効率的に目標を達成していくかを考えることが訓練になります。

根気よくリハビリに取り組み、遂行機能障害と向き合うことで、活動的で楽しい毎日を送りましょう。

 

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