ドクター登場!鳥居さゆ希医師 「心臓リハビリテーション」
今春、着任された御所南リハビリテーションクリニックの鳥居さゆ希医師のコラムをご紹介します。
心臓リハビリテーション
涼しいのを通り越して、一気に寒くなってきました。じきに冬ですね。
毎年寒い季節になると、私たち心臓を診る医師は、心筋梗塞や心不全などの心臓病になる方が増えそうだな、と心配になります。心臓病は、高血圧や脂質異常、糖尿病などがある人、たばこを吸う人などに起こることが多いですが、歳をとるだけでも起こりやすくなります。では、心臓病になったらお薬の治療を受けて良くなったらそれでおしまい、でしょうか?
実は、日本でもここ20年くらいで心臓病になった人に対して『心臓リハビリテーション』が行われるようになってきました。今回はその心臓リハビリテーションについて少しお話ししようと思います。
一般的にリハビリテーションというと、たとえば脳梗塞・脳出血になった後やケガ・手術の後の機能回復訓練をイメージされる方が多いと思います。脳血管や運動器のリハビリテーションでは、身体の一部を使いにくくなった人が自立した元通りの生活/元通りに近い生活を送るための訓練を行い、仕事や旅行・買い物などの余暇など社会の場にも再び参加できるようになることを目指して行います。
一方、心臓リハビリテーションでは、心臓機能に合わせた適切な運動療法を続けることで身体の活動性の向上や心臓機能の回復を目指します。さらに、単に運動を行うだけではなく、これまでの生活習慣(食事、運動、たばこ、お酒、ストレス)を見直して改善してもらい、次にまた同じ病気にならないようにお伝えするのも大切な要素です。
超高齢社会の日本においては、心臓病以外のリハビリテーションを行う対象の方でも心臓病のリスクを併せ持っておられる方が多いので、すべての方にとって生活習慣を見直すことがとても重要です。
これからの寒い季節、心臓病にならないように、ぜひ今から生活習慣をひとつでも見直してみませんか? たとえば、たばこを吸う人なら「明日から禁煙にチャレンジしてみる」、塩辛い食べ物が大好きな方なら「今まで食べていたお漬物を浅漬けのお野菜にかえてみる」など、何か一つ目標を決めて取り組んでみてはいかがでしょうか?
この冬、そしてこれから、皆さんが少しでも今までの生活習慣を見直してくださり、心臓病になる方が一人でも少なくなることを願っています。
- 【Profile】
- 鳥居さゆ希(とりいさゆき)
- 医学博士
- 日本心臓リハビリテーション学会 心臓リハビリテーション指導士
- 日本内科学会認定 認定内科医